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擦り剥き傷の治し方(2011年11月の記事)

※こちらはバックナンバーです。内容にご注意ください。
記載記事に関しては、情報が古い場合があります。
制度や期間など内容が現在と異なる場合がありますので、不明な点は主治医および各市町村の窓口までお問い合わせください。
医師 小室 信人

擦り剥き傷とは、皮膚を何かに(地面、アスファルトなど)こする事で、皮膚の一部がなくなり、真皮(表皮の下の層)や皮下組織がむき出しになった傷の事を言います。ひりひりした痛みがあり、傷の処置をするときなど、大変痛みを伴います。以前は消毒をしてガーゼをのせて処置をしてきましたが、そのたびに痛みがあり、苦痛に感じていたと思います。
今回は擦り剥き傷の治り方、今までの処置はなぜ痛かったのかを話ながら傷の治し方の解説をしていきます。

擦り剥き傷(擦過傷)の治り方

擦過傷はどのように治っていくのでしょうか。
浅い表皮だけはがれてしまった場合は残った真皮がまず湿ってきます(傷がじゅくじゅくしてくるということはこのことです)。その湿った環境の上を周囲の皮膚組織から、毛穴から皮膚細胞が這うように増殖してきます。この表皮細胞が増殖する事で皮膚が再生してきます。真皮まで失ってしまった場合はまず、皮下組織の上に赤い色をした肉芽組織が増殖してきます。この時も傷は湿っています。その湿った肉芽組織の上を周囲の皮膚から皮膚細胞がこれも這うように増殖してきて皮膚が再生してきます。

傷の治癒には、細胞が這ってさらに増殖できるような湿った環境が必要になってきます。

今までの処置はなぜ痛かったのでしょう

今までの処置はどのような考え方で行っていたのでしょう。考え方の元には傷は化膿したら治らないというものがあります。またその元には傷に細菌がいるから化膿するという考え方がありました。そのため殺菌作用のある消毒薬を外界から人を守っている表皮がなくなった部分に使っていました。さてその時は結構痛みを感じていたと思います。この痛みはなんなのでしょうか?消毒薬は細菌を殺す目的で使います。細菌は細胞でできています。人間の皮膚も細胞です。消毒薬は細菌のみならず、人の細胞も殺していたのです。だから痛かったのです。さらに消毒の後に傷の上に乗せるガーゼ。これを使う考えの元には、傷は乾燥させて治すというものでした。ガーゼが真皮を湿らそうとして出てくる水分を吸収します。しかし乾燥したところでは細胞が増殖する事ができません。さらにガーゼをはがすときに痛みを感じたと思います。これは人の細胞を一緒にはがしたために痛みを感じていたのです。ガーゼは治そうとして増える為の湿った環境をなくし、さらにせっかく増えた細胞をはがしていたのです。

消毒は皮膚の再生にはよくない事がわかりましたが、では化膿予防はどうするのでしょうか?化膿するためには人の生きた細胞以外のタンパク質が皮膚にある事が必要になります。たとえば、怪我をした時に死んだ皮膚の組織あるいは、怪我をした時に入り込んだ異物(植物のタンパク質など)です。これに細菌が取りついて化膿するのです。したがってこの異物を取り除けば化膿しません。汚れた傷は水道水(飲み水なので無菌です)で洗い流せばよいのです。
以上の事をふまえて

傷を消毒してはいけない。傷が汚れていたら水道水で洗い流す。
汚れがひどい場合は麻酔しながらブラシを使う必要があるので、病院で処置が必要です。
傷をガーゼで覆ってはいけない。
ガーゼ以外の湿潤環境を保つ材料で傷を覆う事になります。

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傷を覆う材料には市販されているものでハイドロコロイドとハイドロポリマーがあります。湿り気が少ない傷ではハイドロコロイド。湿り気の多い傷ではハイドロポリマーが良いでしょう。いろいろなものが売っているので、薬局で聞いてから購入するとよいです。

消毒やガーゼでの傷の処置は傷の治癒にとっては全く無益でした。今後は消毒もガーゼも使わない方法で傷の処置を行ってください。痛みを感じる事ほとんどありませんよ。

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